おなかすいたーん

日記とか、色々

カタカナ語のせいで苦労している

  やりたくもない習い事を続けさせられた経験がある人も多いでしょう。もう一年まともに練習をしていないが私は小学校のいちねんせいから高校の二年生までバイオリンを習っていた。

 「サッカー続けたいならバイオリンも続けなさい」が決まり文句だったが、要領得ない理由でクラブチームを辞めさせてからは「自転車取り上げられたくなかったらバイオリン続けなさい」 その次の人質は部活。その次は「預かっている」数年分のお年玉。腹が立ってきた。

 モチベーションはともかく長くやっていれば腕はそれなりにはなる。チゴイネルワイゼンとかチャルダッシュだとかそのあたりの曲を楽譜どおりに弾けたら経験者を名乗ってもいいはずだ。でないと好きでもないものに10年も関わってきたことへの割に合わない。

 

 経験者であるからには、大学生が何かと記入させられる「自己紹介シート」の趣味特技欄に書いても差し支えない訳だ。特技がピアノとギター以外の楽器、というだけで目を引く。すごーい、今度聞かしてと人が話題にして振ってくれておいしい。ここで、大きな葛藤が発生する。

 

 バイオリンをやった人なら理解してくれるだろう。表記だ。

 

 ここまで四度「バイオリン」と打ち込む度にムズムズしていた。むず痒い。「violin」断じて「ばいお」ではない。ばいおりん。なんて昭和初期な臭い響きだろうう。ぺにしりんの亜種か何かだろうか。DVDをでーぶいでーと読むのと変わらない。。

 

 ならば「ヴァイオリン」と書けばいいかというとそうもいかない。確かに「ばいおりん」よりは英音に近い。しかし[v]の音だけである。限りなく英音に寄せて表現するならば「ヴィオリン」が妥当なのだ。半端に英音に寄せている感じがどうも受け付けない。中学生のころクラスに数人いた、「本人たちはイントネーションをそれっぽくしてるつもりだけどめっちゃBad pronunciation 」な、なんちゃってネイティブスピーカーの人たちを思い出す。文明開化に触発されすぎた、ざんぎり頭をリズミカルに叩く気取り屋欧州かぶれみたいでなんだか使いたくないのだ。

 

 そもそもバイオリンなら英語よりドイツ語だろう。ガイゲなら何だか言いやすいし、と思って今インターネットを開いたら起源はもっと複雑でどこを語源とすればいいかも分からない。

 ハッキリしていることが一つ。外来語はとりあえずカタカナにしておこうという伝統は怠慢だった。中国語みたいにハイカラもエキゾチックもクソもない漢字の羅列にしてしまえば、こんなむず痒い事象は起こらなかったのだ。洋風馬頭琴辺りが妥当だろうか。ダサいことに変わりはないけれど。

 今日は一限に遅れそう。

十月十二日